【国際】「一帯一路」をめぐり米中急接近=動けぬ日本企業、外交影響[9/30]

【北京時事】中国が提唱したシルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、米中が水面下で急接近している。トランプ米大統領の「ビジネス重視」が色濃く反映されており、多くの米企業が恩恵を受けそうだ。一方で日本企業は、日中外交が依然ぎくしゃくする中、動きにくい状況が続く。

「日本の記者だと? 今渡した名刺を返せ」。北京市内の高級ホテルで19日、一帯一路で連携しようと米中の企業関係者約50人がひそかに集合。潜入取材を試みたが、競合する日本企業に情報が漏れるのを恐れた米企業に、門前払いされた。

参加したのはエネルギー、電力、建設、鉄道などの企業。中国側は国有大手、米側は北京の米大使館の呼び掛けに応じた企業で、途上国での共同事業の機会を探った。出席者の1人は「トランプ政権発足後、大使館が積極的に動いている」と明かす。

外国企業は単独では一帯一路の情報収集が難しく、官民一体で中国側との商談につなげる手法が広がっている。ある外資系企業関係者は「特にドイツ勢の動きが活発だ」と話す。

ドイツなど欧州諸国は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に加盟。AIIBルートを通じ、食い込んでいるもようだ。

米国はオバマ前政権時、日本とともにAIIB参加を見送ったが、米企業の利益を重視するトランプ氏は、巨額の中国マネーが動く一帯一路に注目しているとみられる。

米欧に比べ、日本勢は全般に出遅れている。「商機は魅力だが、日本政府の意向がはっきりせず、勝手に動けない」(日系企業関係者)からだ。

安倍晋三首相は6月、「(一帯一路に)協力していきたい」と表明した。だが、米中と違って首脳の相互訪問のめども立たない中、日系企業からは「発言の真意が分からない」との声が漏れる。

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