【国内】ここにも忍び寄る外国資本!知らぬ間に中国人オーナーに入れ替わり 老舗旅館やホテルが“草刈り場”に[9/30]

訪日外国人観光客(インバウンド)に沸く国内で、地方の旅館やホテルの経営者が様変わりしつつある。将来が見通せないなどとして、日本人オーナーが手放した施設を外国資本が購入するケースが相次いでいるのだ。中でも、高額取引を持ちかける中国人の手に渡ることが多いとされ、経営形態を大きく変化させる施設も出現している。(社会部 三宅陽子)

「後継者がいない中では売りに出すほかない…」

岡山県内で旅館を営む男性(70)は今、施設の売却を考えている。旅館は古きよき風情が漂う隠れ家的宿として知られており、こだわり抜いた食事の評価も高く、リピーターが来訪客の30%を占めるという。

だが、部屋の回転率は60~70%にとどまり、土曜日以外はガラガラの状況だ。こうした中、共に働いてきた妻が体の不調を訴えるようになったこともあり「そろそろ引退したいと考えている」と男性。思うように利益が上がらない中では改装など思い切った改革には踏み切れない。子供たちもすでにそれぞれの道を歩きはじめている。

男性は今年、夫婦二人三脚で守り抜いてきた旅館を6500万円で売り出すことに決めた。

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現在、地方旅館の多くはオーナーの高齢化に加え、施設の老朽化やこれまでの過剰債務などから“廃業の危機”にさらされている。

厚生労働省の「衛生行政報告例」によると、国内にある旅館は約4万軒(平成27年度)。だが、その数は減少傾向が続いており、18~27年度だけを見ても、1万軒以上が姿を消した。

帝国データバンクの調べでは、27年の旅館・ホテル経営業者の倒産件数は前年比8・9%増の86件となり、東日本大震災が発生した23年以来4年ぶりに増加。「業歴30年以上」の倒産が半数以上を占め、多くが設備の老朽化や改修に伴う借入負担などを理由に、経営を悪化させていた。

こうした中、激増しているといわれるのが、外国資本による国内旅館・ホテルの買収だ。特に衰退が進む地方は、“草刈り場”に近い状態に置かれつつあるとされる。

ホテル・旅館の経営コンサルタントで「ホテル旅館経営研究所」の辻右資(ゆうじ)所長(58)のもとには、東京五輪パラリンピック開催が決まって以降、「旅館を買いたい」という外国人からの相談が殺到している。

毎日30~40件はあるという問い合わせの約9割は中国人で、「契約件数は毎年30~40件に上っている」と辻氏。「彼らは日本人客が減って経営に行き詰まる地方の旅館でも、中国から観光客をどんどん連れてくることで十分稼げると踏んでいる」と語る。

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大阪府内にある温泉ホテルを中国人に売却した不動産会社経営の男性(54)は、そのビジネス手法に驚かされた1人だ。

売却前のホテルは客足が遠のき、借金が膨れあがっている状況だった。これまでの慣例を見直して無駄な経費を削減するなど努力も続けたが、男性は将来への展望を描けず売却を決意。立地が訪日客に人気の「ゴールデンルート」にあったことなども助けとなり、中国人が約1億5千万円で購入した。

だがその直後、ホテルは“様変わり”したという。

連日、中国人ツアーを乗せた大型観光バスが到着するように。宿泊料金は1泊3千円(朝食付き)ほどに値下げされたが、8畳間に4~5人を泊まらせるなど“詰め込み”が目立ったという。

当時ホテルで働いていた関係者からは客室の稼働率が大きく向上したと聞いたが、「日本人客には敬遠されるようになったようだ」と男性は語る。

関係者によると、中国人が購入旅館を自ら経営するケースでは、これまで当たり前だったサービスに変化が生じることもある。客室稼働率を上げるため、宿泊料金の大幅な値下げに踏み切ろうとするからだ。

コストカットの対象にされやすいのは食事。日本の温泉旅館では夕食は懐石料理というスタイルが多いが「『夜は外食で』となり、1泊2食付きから1泊朝食付きとなる」(関係者)。

ただ、従来のサービスがそぎ落とされた温泉旅館は「寝泊まりするだけのシティホテルのよう…」との声も聞こえてくる。

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http://www.sankei.com/premium/news/170930/prm1709300021-n1.html

>>2以降に続く)