【国防】島嶼奪還作戦でせっかく買った水陸両用装甲車が使えない!自衛隊には突破できない法律の壁[9/30]

◆「自衛隊ができない20のこと 13」

中国が海底資源を横取りし、さらに我が国の領土である尖閣諸島の領有権を主張していることはほとんどの人がご存じかと思います。昨年の12月25日には中国初の空母「遼寧」が宮古島海峡を通過しその艦載機が領空10kmまで迫ったりしました。

2017年7月中国空軍のH-6爆撃機6機が宮古島海峡を通過しています。空からも海からもいつでも島を奪う事が可能だという示威行為かとおもいます。

自衛隊は外国の軍隊により明確な侵略行動がおこなわれ、防衛出動が発令されなければ武力行使はできません。たとえば、島へ中国軍が上陸し、有人の島であれば島民を人質にとったとしても自衛隊が事前にその侵略をふせぐことは現行法上難しいのです。

海保が体当たりするなどして領海侵犯をとめようとすることはできるでしょうが、敵が軍艦であればわずかな武装しかもたない海保では侵略止めることは難しいでしょう。

専守防衛」がずっしりと自衛隊の上にのしかかっているため、国境の島に侵略の手が伸びた時にも自衛隊はすぐに動けません。だから、一度奪われた島を奪還する島嶼奪還作戦を陸上自衛隊がたてました。

その中心となる装備として、水陸両用装甲車を1台7億円ほどで調達し、今年度で合計56台を保有しました。尖閣沖から海上自衛隊おおすみ輸送艦で奪われた島へ近づき、そこから奪還する作戦を立てているわけです。

平成26年防衛白書から島嶼奪還作戦にAAV7が水陸両用車として画像にも登場しています。かなり以前から陸上自衛隊は水陸両用車を島嶼奪還作戦に使うことを前提と考えていたわけです。

しかし、せっかく買ったAAV7を実際に島嶼奪還作戦に使う道は簡単ではありません。自衛隊憲法9条2項で規定されているように「軍事組織」を持ってはならない国で生まれた組織ですから、法律上軍事組織のもつ「やってはいけないと規定されていること以外はすべてやっていい」という軍法を持っていません。

だから一般の行政組織として決められている法律内でできることだけできる組織です。だから作戦行動でも法律を遵守する義務があります。それがどんなに「トンデモ」なのかこの水陸両用車導入で垣間見ることができます。

まず、島嶼奪還作戦に使おうと考えていた海上自衛隊おおすみ輸送艦はAAV7をそのまま載せて海に送り出す強度がなく、その改修のための予算は予算区分上優先順位が低いということでまだ改良工事が終わっていません。だから、現在AAV7は海に持っていくことができないのです。

さらに、法律の壁がAAV7配備には山ほどのしかかっています。「さあ、やろう!と思う向こうに壁がある!」という言葉がピタリとあてはまっちゃいます。

行政組織であり、平時に適応される法律はすべて他の行政組織と同様に守らなければならない自衛隊に次に立ちふさがったのは「船舶法」という法律です。日本の法律上AAV7は船です。船であるなら海上衝突予防法の定める灯火、音響設備をつけて事故防止に対処しないといけないのです。

また船舶法の適応をうけてしまうので登記などを行う義務をもちます。簡単にいうと戦車もウィンカーをつけないと公道を走れないというような法律の「海版」です。これをどうするのかが難題です。防衛大学および、海上自衛隊の所有する船は船舶法の一部が適応除外になっていますので、それに準ずる扱いをしてもらうために法律の改正が必要となります。

さらにです。船舶であるならば、船の運転免許が必要なのです。総トン数25トンで考えると小型船舶の免許だけではだめで、航海と機関の海技免状が必要になります。これは実務乗船経験1年以上ないと口述試験が受けられないという資格です。その免許どうするのか?という難題がでてきます。

どうにか容積比で20トン切ることが証明できれば小型船舶で事足りますが、それでも尖閣諸島沖は沿岸区域ではないので、法律上6級海技士免許保有者が乗船しないといけないのです。

この資格問題を適応除外にするとすれば、いくつもの法律を改正しないといけなくなるわけです。国会は現状では改正法案を出している動きはありません。AAV7についての法改正はこれからです。

http://news.livedoor.com/article/detail/13684267/

>>2以降に続く)