【アフガニスタン】タリバン政権に破壊されたバーミヤン遺跡の大仏 復元に向け4案 明らかに

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9月30日 6時16分

16年前、アフガニスタンタリバン政権に破壊された世界的な文化遺産バーミヤン遺跡の大仏の復元に向けて話し合う非公開の会議が開かれ、4つの復元案が初めて明らかにされました。復元する場所をめぐって意見が分かれていて、今後の議論が注目されます。

会議は16年前、アフガニスタンタリバン政権によって破壊されたバーミヤン遺跡の大仏の復元方法について議論しようと、アフガニスタン政府やユネスコなどが主催して東京都内で開かれ、世界各国の専門家などおよそ80人が参加しました。タリバンから妨害されるおそれがあるとして、非公開で行われた会議では日本とドイツ、それにイタリアの4つの専門家のグループが具体的な復元案を初めて明らかにしました。

関係者によりますと、日本を除く3つのグループは破壊された大仏の破片や大理石などを使って、大仏を元の場所に復元する案を発表したということです。

一方、日本のグループは、1キロ以上離れた別の場所に大仏をかたどったモニュメントを作る案を発表しました。そして破壊された大仏は元の場所にそのままの状態で保存するということです。

これについて日本の専門家グループの1人、帝京大学の山内和也教授はNHKの取材に対し「破壊されたこと自体も歴史の一部であり、『負の遺産』として、後世に伝えるべきだ」と話していました。

アフガニスタンのバーワリ情報文化相代行は「復元は当時の技術や文化を踏まえたうえでアフガニスタン国益にかなうものにすべきだ。技術面と実現の可能性を考慮して、最終的に判断したい」と話していました。
復元めぐる経緯
アフガニスタンバーミヤン遺跡には仏像や壁画などを伴う1000以上の石窟が残されています。高さ55メートルの「西大仏」と高さ38メートルの「東大仏」が特に有名で、多くの観光客が訪れていましたが2001年、偶像崇拝を認めないとする当時のタリバン政権によって爆破されました。バーミヤン遺跡はユネスコ世界文化遺産に登録されるとともに、存続が危ぶまれる「危機遺産」にも指定され、世界各国の文化財の専門家が保護の在り方について議論を続けてきました。

アフガニスタン政府は去年、「東大仏」について復元する方針を明らかにし、ユネスコが具体的な復元案を公募していました。アフガニスタンでは仏像を破壊したタリバンが攻勢を強めているほか、過激派組織IS=イスラミックステートの地方組織も台頭し治安が悪化していて、貴重な文化財を今後、どのように守っていくかが課題となっています。